五輪ボランティア、学生らの内容理解度わずか26%ーATR調査

(五輪ボランティアのリーフレットを眺める学生 小寺梓撮影)

(ATR Japan)ATR Japanが11月2日から4日の3日間に明治大学(東京都杉並区)の大学祭(明大祭)に来場した高校生と大学生、専門学生の計473人に「東京五輪ボランティアに関する意識調査」実施した。ボランティア内容を問うクイズ3問では、平均正答率が26%と、活動内容ついて正しく認識されていない実態が明らかになった。

クイズは、「募集要項で条件とされている英語力」「条件とされる最低活動日数」「活動にあたり支給されるもの」の3つで択一回答形式だった。東京五輪組織委員会が公開している大会ボランティアの募集要項やリーフレットには、活動期間と時間、応募の条件、活動内容と人数、今後のスケジュール、そして活動で支給される物品等が記載されている。活動には、英語能力が求められない内容もあるが、回答者のうち8割が全ての分野で英語力が必要だと誤認していた。さらに、着用するユニフォーム、活動中の飲食、ボランティア向けの保険、交通費相当として一定程度が支給されることを知っていた人は、3割に満たなかった。 

活動分野についても、「案内」「競技」「移動サポート(運転等)」「アテンド」「運営サポート」「ヘルスケア」「テクノロジー」「メディア」「式典」の9種類があり、その具体的な内容が詳しく説明されている。そこで、「ボランティアとは具体的にどのような活動をすると思いますか?」(複数回答可)という調査をした。その結果、会場内で観客や関係者を誘導する「案内」は回答者の75.5%が知っていた。しかし、記者会見の準備を手伝うなどの「メディア」の活動は、12.9%にとどまり、五輪ボラについて学生が抱く印象に偏りが見られた。

さらに、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に,日本全国においてスポーツボランティア活動への参加を促すためには,どのような取り組みが有効と考えますか」(複数回答可)とたずねた。その結果、「募集する団体や必要な手続きなどの情報を十分周知する」と答えた人の割合が35.9%で最も高かった。以下、「参加のための手続きを簡易なものにする」(32.5%)、「ボランティア休暇や有給休暇を取得しやすくする」(31.9%)と続いた。ボランティアに関わる情報が十分に周知されていないため、理解が進んでいないことがうかがえる。

また、この調査では内閣府が2015年6月に行った「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」の結果と比較する内容を含めた。「国際競技大会などが開催される場合、その運営に多くの人がボランティアとして参加していますが、あなたは、このようなボランティア活動について知っていますか、それとも知りませんか」という質問に対して、本調査では「知っている」と回答した人が73.4%だった。一方、内閣府の調査では、ほぼ同年齢層である20~29歳のうち、「知っている」と答えた人は24.8%であった。本調査と内閣府調査の結果が大きく異なったのは、この3年半の間の、マスコミやポスターなどを通じた広報活動によることが考えられる。

組織委はこのほど、11月20日9時時点での応募完了者は8万1035人で、目標とする8万人を超えたと発表した。今回の調査でも、現時点で五輪ボランティアに「参加したい」「できれば参加したい」と回答した人は計49%おり、「参加したくない」「できれば参加したくない」と答えた人の36%を上回った。ただ、五輪ボランティアに否定的な声も一定数存在する。10月に都内で開かれた学生向けの五輪ボラについての会合では、「(参加を検討しているが、)ネットの情報だけではわからないことがたくさんある」「五輪ボランティアはブラック」「やりがい搾取だ」という意見があった。こうした声を受け止め、活動の実態を正しく伝えことが必要だ。

今年2月に韓国で開催された平昌冬季五輪では極寒下での活動といった待遇への不満が噴出し、大量のボランティアがボイコットする事件があった。8月の盛夏に開催される東京五輪では猛暑の中の活動も予想される。これまで全国各地の会場で、大会ボランティアの説明会が開催されてきたが、今後も詳細な内容説明が求められよう。組織委は12月上旬予定だった当初の締め切りを、12月21日までに延長して、募集を続けている。(大海雪乃、吉崎良太)