人々と東京五輪・パラをつなぐ窓口に 学生団体「おりがみ」(後)

(インタビューに応じる都築団体代表と(左)と綿野明治大学支部代表(右) 佐野圭弥撮影)

(ATR Japan)前回、五輪ボランティア団体「おりがみ」の成り立ちや目的について紹介した。今回は大学生が主体となる東京五輪のボランティア、現在の五輪運営体制、そして「おりがみ」の活動展開について、「おりがみ」の都築則彦さんと綿野知洋さんに聞いた。(田村純一朗)

――現在の五輪ボランティア体制について思うことはありますか。
綿野:「おりがみ」は大会の公式ボランティアをしたい人たちの集まりではありません。私たちが目指すのは、公式以外のボランティアをどう構築するかということです。五輪後に残していくものを考えたときに、公式ボランティアだけでは足りないと考えます。非公式のボランティアの仕組みや、その基盤づくりをこの4年間で考えたいというのが私個人の意見です。公式ボランティアの参加条件は厳しいと聞いていますが、企業などによるボランティア休暇への支援体制が整っていないのも問題でしょう。

都築:公式ボランティアの参加条件はあえて厳しくしている部分があると思います。それに参加できないけど、僕らみたいに団体を立ち上げるなどで五輪に関わる形があるはずです。逆に、そこまでの行動力を持てない人のために、僕たちがいる意味もあります。だから、高いレベルで五輪と関わりたい人は、公式ボランティアに参加すればいいですし、そうでない人に対して、僕たちから関わる形を提案したい。公式ボランティアに関しては、「やらされる」感が強いから批判が集まっていると思う。以前、東京外国語大学の学生らによるリオ五輪ボランティアの報告会に行きました。その時、参加した人たちは楽しそうに話していました。ネットなどでは「大学生の乱用だ」とかなり批判されていたのですが、本人たちが楽しければそれでいいと思いませんか。周りが騒ぎ立てることではないと思います。

――将来的には、「おりがみ」も五輪ボランティアの運営や管理を行う予定ですか。
都築:以前参加した「パラスポーツフェスタちば」というイベントでは、千葉県という名前を背負って、参加者約800人の管理を学生が行いました。モチベーションさえあれば、ボランティアの運営・管理も可能だと思っています。僕一人ですべてコントロールしようとは考えてはいなくて、「おりがみ」を中心に様々な支部同士で協力するのが理想です。

――2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会に対して、何か要望はありますか。
都築:組織委員会が批判されていますが、それは新聞やテレビの役目が社会課題を報道することだからであって、組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)の人たちなどは頑張っていると思います。なので、僕たちから要望を出すというよりは、お互いに協力しあう関係を組織委員会に提案していきたいです。

――東京五輪開催時、お二人は社会人になりますが、五輪との関わり方は。
綿野:私は東京五輪の時、社会人でいたくないので、留学・休学・大学院など色々な方に相談している最中です。もし社会人で東京五輪を迎えたら、できることを少しずつやろうと考えています。私たちがやりたいことは、東京五輪にあまり関われない人も関われる形を作ることなので、そういった環境を私たちが作って、それを私も利用できればいいかなと考えています。

都築:自分が広げた風呂敷に対して決着をつけたいという思いがありますし、僕らの活動はまだアマチュアなので、大学院に行ってしっかり研究をしたいと考えています。東京五輪開催時の関わり方というよりは、開催当日に「これだけのことが起こっている。その原点を作ったのは自分だ」って思えば、僕はそれで満足するのかなと思います。「おりがみ」の社会人部のような組織は作ろうと考えています。「おりがみ」が学生同士の繋がりや、学生と社会人の繋がりなどがレガシーとしてうまく残る組織になったらいいなというビジョンはあります。

ーーレガシーを残すことで日本が良くなると。
都築:日本が良くなるということは、その後に残るレガシーとほぼイコールだと考えています。東京五輪を契機に、間違いなく日本は変わっていくと思います。そこで、「変えたのは自分だ」と一人でも多くの学生が言えるようになったら、自分に自信が持てるようになりますし、日本が元気になるのではないかと思います。

――東京五輪終了後、「おりがみ」の活動はどのようになるのか。
綿野:その時私たちは学生ではないので、その時の学生たちが自由にできるような風呂敷を私たちが広げていきたいです。活動が終わってしまっては、そこでレガシーが途絶えてしまうので、組織は続いて欲しいと思います。ただ、それがどういう形で続いていくのかは、その時の方々が決めるのかなと思います。

――今後、「おりがみ」にどのような団体になって欲しいか。
綿野;私は全国に広がっていけばいいなと思います。東京から遠いところからでも五輪について何かやりたいと思う人が集まって、東京五輪に向かって全国が一つにまとまる流れを作っていきたいです。

都築:団体の規模としては同じ意見です。中身としては、スポーツ・文化・環境を軸に中身を掘り下げて、色々なことを人々に提案していきたいです。あとは、団体の人数がどんなに膨れ上がったとしても、全員が「この団体にいて良かったな」と思える居心地のいい団体にしていきたいと思います。団体としての僕の目標はそこですかね。(了)

プロフィール
都築則彦(つづきのりひこ):千葉大学理学部物理学科3年、学生団体「おりがみ」代表

綿野知洋(わたのちひろ):明治大学情報コミュニケーション学部1年、学生団体「おりがみ」明治大学支部代表