「新国立、屋根は観客席のみ 基本方針決定  JSC内に審査委員会も」

(ATR Japan)政府は8月14日、第3回の「新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議」を開き、整備計画の再検討の基本的な考え方を決定した。この基本方針には、アスリート第一を基本とし、コストの抑制や競技機能に限定した施設整備を原則に、屋根は観客席の上部のみとすることが盛り込まれた。また、計画の決定や進捗のプロセスを透明化することや、大会後の運営を民間事業へ移行することも決めた。8月中に工期やコストの上限などを明示した整備計画が策定され、9月初めに設計と施工を一括して発注する方式の公募が行われる予定だ。

 遠藤利明五輪・パラリンピック担当大臣は会議後の記者会見で、「基本的考え方は多くの国民やアスリートの方々の声をふまえて整理したものであり、今後はこの考え方に沿って検討を進めたい」と述べ、国民の声やアスリート第一の考え方を尊重したことを強調した。また、この基本方針に明示されなかった収容人数については多様な意見をふまえて検討していくとした。同じく陸上競技団体が求めているサブトラック常設については、「常設でできる土地を確保できるかというとなかなか難しい」と述べ、仮設になるとの見方を示した。

今回の会議では、新国立競技場の事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)内に「技術提案等審査委員会」が設置されることも決定した。業者の技術審査や価格などの交渉の段階で、専門家の意見を聴取する。総工費が2520億円に膨れ上がった以前の計画では、コストに関する議論が十分でなく、文部科学省とJSCの連携が機能していないことが問題視されたが、この是正を図る。

ただ、失態を繰り返したJSC内に費用などの審査機関を設置すること自体に疑問が残る。遠藤大臣はJSC内の旧計画に携わったメンバーが残留する体制について問われると、閣僚会議などと連携を図ったうえで「(JSCの)今のような形で十分対応できる」と述べ、問題はないとの認識を示した。文科省内ではJSCの責任も含めたこれまでの計画について議論される検証委員会が設置されているが、最終的な報告は9月中旬に出される予定であり、現段階で責任については明確になっていない。

この日発表された基本方針の中では「内閣全体として責任をもって整備を進める」とされているが、これまでの責任を保留にしたままJSCが事業主体を引き続き担っているというかたちだ。審査委員会は17日に第1回の会合が開かれる。(平田秀祐)