MLBのためのWBCなのか? スポーツバーで感じたW杯との違い

(ATR Japan)野球の2017WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が6日から開催された。WBCは今大会で4回目を迎え、予選を含めると28の国や地域が参加している。2006年に行われた第1回大会の参加数が16であることを考えると、大会の規模は広がっていると言えるだろう。

筆者は8日の夜、日本対オーストラリアの試合が行われている東京ドーム近くのスポーツパブを訪れた。そこで目にしたのは、活気に欠ける店内の様子だった。サッカーの代表戦の時は、客の多くが代表のユニフォームをまとい、代表を応援する空気が店全体で形成されていた。しかし、今回は40名ほどいた客の中で代表のユニフォームを着ている人はわずか1人。代表のキャップをかぶっている人も1人。野球中継が流れているテレビに注視している人は10人ほどだった。客の多くは友人との会話に夢中であり、就職活動や仕事の話が聞こえてくる。日本選手のファインプレーに店内が沸いた時、隣にいた客が「そんなに盛り上がること?」と呟いたことが印象的だった。

同じ国際大会でも、サッカーのFIFAワールドカップと比べWBCが盛り上がりに欠けるのは、有力選手の多くが辞退する状況が一因であると考えられる。今回、9人いる日本人メジャーリーガーで代表に参加したのは、青木宣親選手(ヒューストン・アストロズ)ただ1人だ。日本球界からも、投手と野手の“二刀流”で注目されている大谷翔平選手(北海道日本ハムファイターズ)や、一昨年打率3割、本塁打30本、30盗塁の“トリプルスリー”を達成した柳田悠岐選手(福岡ソフトバンクホークス)などが欠場している。理由の多くは、故障やコンディションの調整不足、シーズンへの影響を考えてなどだ。

そもそもWBCは、MLBが利権拡大を目的として主催している大会だ。2009年の第2回大会では、大会利益の66%をアメリカが独占し、優勝国であった日本はわずか13%に留まった。また、これまでのWBC準決勝・決勝はすべてアメリカで行われている。これでは、WBCが“アメリカのための大会”と思われ、大会へのモチベーションを保てない選手がいても無理はない。WBCが本当に国の世界一をかけ、野球の国際化を目指す意義のある大会になれば、参加の意思を示す選手は増えるのではないだろうか。そのためには、サッカーW杯のように、大会ごとに開催地を変えるなどの改革が必要だろう。(田村純一朗)