「オールジャパン体制」に亀裂 –新国立競技場の費用めぐり、国と都の対立表面化

【ATR Japan=東京】2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設費用をめぐり、下村博文・文部科学大臣は5月18日午前、東京都庁で舛添要一・東京都知事と会談し一部負担を求めた。
五輪招致時に新国立競技場の総工費は国が負担し、1300億円と見積もられていた。招致決定後に試算しなおしたところ、3000億円まで膨れ上がることが分かり批判が続出した。そこで計画の一部見直しを図り、現在の試算では当初計画から約400億円超過する1692億円に落ち着いている。ただ、人件費や原材料の高騰からこれで収まる保証はない。
18日の会談で、下村大臣が舛添都知事に対してこの一部負担を求めたが、これに対して、「噂では500億円とかいう話が出ているが、これまで説明を受けていない。今どういう状況なのかを知らせるべき」などと舛添都知事が反発した。
朝日新聞などの報道によると、猪瀬直樹前都知事が辞任した直後の2013年12月、下村大臣と都議会の間で都が500億円拠出する取り決めが内々にかわされていたという。これを裏付けるように下村大臣はこの日の会談で、舛添都知事に対して「以前からお願いしている」「業者と交渉段階であり、今月中には明確な金額も定まる」などと釈明した。
総工費削減のための妥協案として、この日の会談で下村氏は東京五輪・パラ大会開催まで競技場屋根部分の建設延期や、スタンドの一部を仮設席や可動席に変更することを提案したが、舛添氏が歩み寄ることはなかった。都知事は、「メーンスタジアムが出来なくて開催都市を返上することはありえない」とし、「国に拠出しても会場ができないなら、都立競技場すら考える。主催都市としての責任を果たす」と返答した。
さらに都知事は「楽観的で全てうまく行くような話しか上がっていない。大日本帝国陸軍と変わらないのではないか。戦争に勝ったといいながら負けたのと同じ」と不快感をあらわにした。
2020年東京五輪パラリンピックの組織運営について、国と都、そして組織委が一体となった「オールジャパン体制」が強調されていた。競技場建設費をめぐっては、国と都の間で意思疎通のほころびや、国民への情報開示と説明責任への意識の低さが露見したかたちだ。(半田 顕太、橋本 大周)