新国立、デザイン案2つを公開 2019年11月末の完成明記

(新国立競技場の設計案に決定したA案のデザイン図=技術提案書よりJSC提供)

(新国立競技場の設計案に決定したA案のデザイン図=技術提案書よりJSC提供)

(新国立競技場の設計案に決定したB案のデザイン図=技術提案書よりJSC提供)

(新国立競技場の設計案に決定したB案のデザイン図=技術提案書よりJSC提供)

(ATR Japan)2020年東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムである新国立競技場について12月14日、設計と施工を担当する事業者を募集していた日本スポーツ振興センター(JSC)はデザインや事業費、工期などが示された2つの「技術提案書」をホームページ上で公開した。いずれの案も2019年11月末の工事完了を明示しており、国際オリンピック委員会(IOC)が求めている2020年1月までの完成を実現できる見通しだ。

新国立競技場の公募に応じたのは2つの業者チームであるとされる。事業者名は明らかにされていないが、一部報道によると大成建設などによるチームと、竹中工務店、清水建設、大林組のチームだという。

A案とされた提案書は事業費を約1490億円とし、「木と鉄のハイブリッド屋根構造」による「伝統的な和」を特徴としている。一方のB案は、事業費を約1497億円とし、スタジアムの全周に回廊空間を施し、防災拠点としての円滑な避難ができることを掲げた。両案とも政府が上限とした1550億円という数字に収まった。2つの事業者の提案書について、池田貴城JSC理事はJSC本部での会見で「(要求した水準を)クリアする案が出てきて、ほっとしている」と述べ、提案書の内容が十分なものであるとの見方を示した。

事業者の選定についてJSCは、アスリートや競技団体などと意見交換を行い、建築家らで構成される技術審査委員会(審査委)で2つの事業者からヒアリング審査を行う。その後、審査委の7名が、コスト・工期などの3つの評価項目について、1人140点満点で採点する。その結果をふまえ、大東和美JSC理事長が事業者を選択し、政府の関係閣僚会議で年内に了承されるという見通しだ。事業者名についてはすべての選定過程が終了した段階で公表される。

2つ提案書には、スタジアムの名称も記載されているが、どちらも「杜のスタジアム」と、同じものとなった。これについて、池田理事は会見で、「偶然こういうことになったのではないか」と述べた。また、JSCのホームページでは、新国立競技場に関する意見を募集しており、事業者を選定する際に参考にするとしている。しかし、この募集した意見やアスリートとの意見交換など、外部からの意見がどう反映されるのかは明らかになっていない。8月に政府が決定した整備計画に盛り込まれた「整備プロセスの透明化」が担保されるのか、不安が残る。

新国立競技場の整備については、2012年に建築家ザハ・ハディド氏のデザイン案が選ばれていた。しかし、当初設定されていた1300億円の総工費が約2520億円まで高騰し、国民の理解が得られないなどの批判を受け、今年7月に安倍晋三首相が整備計画の白紙撤回を表明した。8月には政府が総工費の上限や事業者の選定方法などを盛り込んだ整備計画を決定し、その後JSCが事業者の公募を行っていた。

公開されたデザインについて、2020東京五輪・パラリンピック組織委員会(組織委)の森喜朗会長は都内の組織委本部で記者団に対し、「外側だけ見るとB案のほうがいい。デザインよりも中身。(競技場の仕様について)求められているものができるかどうかが大事」との認識を示した。(JSC=平田秀祐、組織委=横尾和哉)