旧エンブレム選考で不正 永井委員会代表が関与

(ATR Japan)東京五輪パラリンピック組織委員会は12月18日、白紙撤回された旧エンブレムの選考過程についての外部有識者による調査報告書を公表し、1次審査で参加を要請した8人のデザイナー全員の作品を2次審査に進めるよう、不正な投票が行われたと明らかにした。調査はメールや審査の映像などの資料と関係者へのヒアリングをした。

報告書によると、組織委のエンブレム審査委員会の代表である永井一正氏の要望で、組織委の槙英俊マーケティング局長と審査委の委員でもある高崎卓馬クリエイティブ・ディレクターを合わせた3人での協議の結果、選定した8名のデザイナーへ参加を要請する文書を審査前に送付したという。

その後の1次審査の選定について、その8人を無条件で2次審査に進めるよう永井氏が要望していた。そのため槙氏と高崎氏は協議した結果、投票数の経過を把握できるように作品の脇に札を置く方法に変えた。また、槙氏と高崎氏は審査前に作品番号や製作者を認知しており、この8人を2次審査へ進めるよう画策した。

報告書では、高崎氏が作品の一覧表を保有していたことについて「審査の公正性に対する重大な疑義を生じさせるものであり、極めて不適切」とした。また、投票を促す行為についても「耳打ちして、追加で投票させた行為は、いわば隠れシードを行ったものであり、明らかに不正である」と断じた。

一方で、不正は1次審査だけで、2次審査以降は永井氏の要望もなかったことから、最終的に旧エンブレムの製作者である佐野研二郎氏の作品が選ばれた。これについて「影響を与えたとは認められない」と結論づけた。佐野氏の作品は1次審査から最終審査のすべての審査で、最多得票だった。

外部有識者の和田衞氏(弁護士、元東京地検検事)はこの日の会見で、「手続き自体を適正に行っていかなければならないという意識が弱いためにこのようなことが起きた」と述べた。また、槙氏と高崎氏については不正を認めているとしたが、永井氏については、優秀なデザイナーを慎重に審査するという確信を持っていたため「違法性の意識がやや薄い」との見解を示した。槙氏と高崎氏は10月に退任している。

旧エンブレム問題については、7月にベルギーのリエージュ劇場のロゴと類似しているとの指摘があり、製作者である佐野氏が模倣を否定していた。しかし、新たな類似作品の指摘やエンブレムを説明する資料に第三者の画像の無断使用が発覚するなどの問題が浮上し、9月にエンブレムの取り下げが決定した。旧エンブレムの選考過程で、公募前に8人のデザイナーに参加要請文書が送付されていたことも発覚し、組織委の外部有識者による調査が行われていた。(平田秀祐)