新国立、隈研吾氏らの設計案に決定 工期短縮の実現性評価

(ATR Japan)2020年東京五輪・パラリンピック大会のメインスタジアムである新国立競技場について政府の関係閣僚会議は12月22日、この事業主体である日本スポーツ振興センター(JSC)の大東和美理事長から、公募に応じた2つの事業チームのうち建築家の隈研吾氏らが提案したA案を選定したことの報告を受け、これを了承した。旧計画の白紙撤回により時間が限られる中、工期短縮の実現性が重視された。

決定したA案は隈氏、大成建設、梓設計のチームによる提案であり、「木と鉄のハイブリッド屋根構造」による「伝統的な和」を特徴とする。また、太陽光パネルの使用や季節に応じて風の流れを変える工夫もある。地下2階、地上3階の構造で、総工費は約1490億円。観客席数は6万8千席で、2020年大会後に約8万席への増設が計画されている。

JSCは技術提案等審査委員会の7名による審査を行った。1人140点の980点満点で9つに分かれた評価項目を点数化。その結果A案が610点、B案が602点となった。配点が高かった「工期短縮」の部分でA案は177点、B案は150点と大きく差がついたことが選定につながった。政府も8月に示した整備計画のなかで「大会に確実に間に合うよう」にと明記しており、重要視されたとみられる。審査委の村上周三委員長はA案の工期短縮について、「実現可能性で(B案と)差がついた」と評価した。

一方のB案は建築家の伊東豊雄氏と竹中工務店、清水建設、大林組の事業チームによる提案だった。審査では「日本らしさに配慮した計画」、「ユニバーサルデザインの計画」の項目でA案を上回ったが、重要視された工期短縮について「(工期が)遅れる可能性があるのではないかという危惧(村上委員長)」があったことが結果に影響したとされる。

A案のデザインを考案した隈氏は世界から注目され責任があるとしたうえで、「大きな重いプロジェクトであることをひしひしと感じている」と今後の取り組みに対する思いを述べた。遠藤利明五輪担当大臣は閣僚会議後の会見で「素晴らしい案が選ばれた。新国立競技場の整備プロセスに大きな前進があった」と述べた。

2つのデザイン案の公表直後に「外側だけ見るとB案のほうがいい」などと述べていた2020東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は「関係者の英知を結集して建設される新国立競技場を東京2020大会のメインスタジアムとして使用させていただけることを大変うれしく思います」とのコメントを発表した。

また、関係閣僚会議では今月1日に合意された新国立競技場の整備費用負担の分担についても了承され、分担対象経費の1581億円のうち国が半分を負担、残りをJSCが販売するスポーツ振興くじ(toto)の収益金と東京都で折半することが正式に決まった。今後、政府はこの費用負担について、totoの運用方法や都からの拠出に法的根拠をもたせるため、関連法の法改正を目指す。

新国立競技場は、来年12月に着工し、2019年11月に完成する予定だ。(平田秀祐)

(新国立競技場の設計案に決定したA案のデザイン図=技術提案書よりJSC提供)

(新国立競技場の設計案に決定したA案のデザイン図=技術提案書よりJSC提供)